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日光市 地域振興課

  

「森を知る」 長谷川久乃 隊員 R6年度の活動報告

令和6年6月から活動する長谷川隊員。
1年の活動の振り返りとして、力を入れた業務や今後について、自由に語っていただきました(令和7年1月末時点)。

長谷川 久乃(はせがわ ひさの)

出身栃木県
活動開始令和6年6月
活動テーマ森林整備促進業務
(地域林政アドバイザー補助員)
主な業務・森林経営管理制度に関する事務手続き補助
・木材普及活動
・森林保全にかかわる活動補助

1.活動テーマは「森を知る」

2024年6月より着任しました。
ミッションは「森林整備促進業務」です。

主に森林経営管理制度にもとづく意向調査の補助業務(経営計画が策定されていない森林を対象に登記簿・森林簿から所有者を特定、市に管理を委託するか否か意思確認のアンケート作成)を行っています。

前職が建築業でしたので木材について多少は理解していたつもりでした。
でも林業の世界は奥が深く、木が建築材料として利用できるまでに時間と多くの手間・労力がかかっていることに驚きました。

必然的に、今年度の活動テーマは「森を知る」となりました。

2.森林の現状を知る

関係者からのヒアリングや森林経営管理制度、森林経営計画制度を学ぶ中で森林の現状をざっくり以下のように理解しました。

  • 日光市は総面積約145,000ha。
    そのうち林野面積 約125,000haで86.2%を占めており、林野面積の約20%がスギを中心とした民有の人工林(約24,000ha)
  • 森林は小班と呼ばれる単位で所有者が多数いる(マンションの区分所有のよう)
  • 空き家問題と同じく相続等で所有者が特定できないケースがある
  • 今、日本中で伐採適齢木があふれている
  • 日光の木は品質が高い(一般人への認知度は低い)
  • 人工林は間伐など定期的に手入れを行わないと材木にできるいい木に育たない
  • 森林は一定の成長が進むとCO2の吸収量が減少してしまう
    よって、森林の所有者の特定を行い、定期的に間伐、除伐、再造林を循環させながら管理を行うことで健全な森林が保護される
  • 健全な森林が保護されることで、CO2の吸収、自然災害の防止や水資源の貯蓄・浄水機能が維持され、我々の生活も守られる
  • 森林保全のために森林法、森林経営管理法にもとづく制度がある
  • 森林環境譲与税が森林保全・木材普及にあてられている
  • 各行政により森林が抱える課題が異なり、他地域の成功事例を日光で活用できるわけではない
    …etc

3.調査、セミナー、イベントへ参加

ヤマビル生息密度調査

ヤマビル生息密度調査では、一定範囲を歩きまわったあと、一定時間停止した際にヤマビルが人に着いた数を数えます
振動や熱を感じて生物にとりつくそうです。

幸い血を吸われることはありませんでしたが、小指の先ほどの大きさなので、気づくのは難しそうです(笑)。

大学の先生が指先でヤマビルと戯れていたのが印象的でした。
先生いわく病気は持っていないので感染症の心配はないそうです。

ナラ枯れの実態調査

ナラ枯れは、カシノナガキクイムシが媒介するナラ菌によりコナラ・ミズナラ類等の樹木が集団的に枯損する樹木の伝染病です。

根元に多くのフラス(虫のフンや木くず)が堆積し、進行すると立ち枯れた状態になり、倒木の危険性が高まります。

日光市では倒木など人への被害が出るほどの報告はありませんが、観光で訪れた奥多摩や淡路島では深刻な状況が見られました。

林業セミナーに参加

9月に次世代森林産業展に参加。

林業だけでなく各業界による森林・木材利用による未来像などを聞くことができました。

森林愛にあふれ、熱い人々と交流できました。

  • 林業のデジタル化(ドローン写真・GIS等の活用による解析システムの紹介)
  • 国内森林投資(森林ファンド)の可能性、Jクレジットの現況
  • 産官学連携によるプラチナ構想ネットワーク(バイオマス化学、木造都市、森林需要の拡大) の活動など

林業体験イベント

12月に日光市森林組合さんの協力により、実際の施業地にて市民向けの林業体験イベントを行いました。

  • 倒伐、林業機械の見学
  • チェンソーを使用した玉切り体験
  • 獣害予防のネット巻き体験 

静寂の中で、チェンソーの音のあと、メリメリと木が倒れる音やドーンという振動が印象的でした。
木を切る作業は重労働で女性が気軽に入れる世界ではないなあ、と実感しました。

建設業界の現場に女性がいるのは当たり前になりましたが、当たり前になるまでに30年かかりました。

林業の現場に女性がいるのが当たり前になるには、もう少しかかりそうです。

他市町の地域おこし協力隊との交流

「とちぎ地域おこし協力隊プラットフォーム」に参加しています。

いろいろな世代・キャリアの方と交流でき、前向きでお話上手、勉強家で要領よしなどキャラも様々、いい刺激をもらっています。

  • 農林業グループによる月1回検討会、2回視察
    (南会津 木を使用した精油工場、石岡 JAやさとを中心とした有機農業の取り組み)
  • イベントグループ企画のマルシェのお手伝い、那須町ゆるキャラ、キュービーのアテンドなど

来年のマルシェには、子供向けに日光市の森林関連のブースの出展を検討します。

4.来年度のテーマは「発信」

「日光の木」プロモーション日光市の各種取り組みを県内外に向けての発信他地域で活動されている人との交流などを検討しています。

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