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日光市 地域振興課

  

伝統工芸 継承促進 事業

※新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い「第4回 日光てしごと市」の開催は中止となりました

 

最盛期は地域の一大産業だった、日光の伝統工芸「日光彫」

後継者不足などの難しい課題を抱える中、日光彫の普及促進に取り組んでいる 市商工課 石川隊員にお話を伺いました(令和3年6月聞き取り)。

石川です。今年は活動5年目(最終年度)です。

運命の求人

ものづくりや工芸品は子どもの頃から好きでした。

前職では出身の青森県で働いていましたが、定年」がなく満足いくまで働き続けられる技術を身につけたいと、20代後半から伝統工芸に関わる仕事を探しはじめます。

 

勤務地は北関東がいいなと思っていました。
茨城県の大学に通い、恩師の影響で工芸品を身近に取り入れた暮らしにあこがれがあって、土地の雰囲気も好きだったからです。

大都会ではないけれど東京の美術館へ行きやすいのもポイントでした。

 

ある日、偶然か、今しかないというタイミングで、ぴったり条件に当てはまる求人情報を見つけます。

日光市の地域おこし協力隊です。

2017年の現地説明会で日光へ訪れたときは、日光東照宮が国宝「陽明門」の修理を終えたばかり。

たくさんの観光客で賑わう様子を目の前にして「なにか役に立てることがあるかもしれない」という感触も得られました。

 

こうして日光での活動がスタートします。

 

日光彫 普及活動のこれまで

活動をはじめて5年目となり、卒業まで残り約半年です。

 

若手職人とのネットワークづくりや情報集めが中心だった1年目。
「日光てしごと市」「工房見学ツアー」「写真展」などの企画を実施した2年目。

3年目以降も日光てしごと市やワークショップなどを続け、コロナ渦の影響を受けながらも日光彫の課題やこれからについて、職人仲間と共有しあっています。

 

日光彫の歴史を調べる上で貴重な作品の発見に関わり、メディアに取り上げていただいたこともありました。

日光金谷ホテルにあった彫刻が、日光堆朱(にっこうついしゅ ※独特の漆の重ね塗り)の基礎を築いた明治の彫刻師「上野桐恵(うえのとうけい)」の作品と分かった出来事です。

 

これも桐恵の出身である、栃木県壬生町の歴史民俗資料館の方々のご尽力をはじめ、さまざまな関係者のご協力があってのこと。

長年研究されている方にも「自分たちの調査が新たな発見につながった」と喜んでいただけました。

 

でもこれはまだ一例。

日光にはまだ日の目をみないままの文化財が多いです。

調査で新たな発見も増えていて、もう少し整理できたら、楽しい企画をやりたいと思っています。

日光彫の課題は後継者不足で、現在 30代の若手職人は10人弱

技術を教わる先も販路も限られていて、生業(なりわい)として続けるにはハードルが高く、日光彫を覚えたい人がいたとしてもその道が十分に開かれていません。

 

ときには暗い話になることもあり、悩みは尽きません。

でもある方の助言がきっかけで「周りのためだけでなく、自分がやりたくてしている活動だ」と、気持ちを切り替えられました。

 

この気持ちは今も大切にしています。

 

「日光の夏には日光てしごと市がある」

 

日光てしごと市」は日光彫の若手職人が中心となって運営する、年に1度のクラフトフェア(作家や職人が自身の作品を展示販売する市)です。

わたしが組織の代表を務め、2018年にスタートしました。

 

きっかけは、職人仲間の「作品を売る機会がない」という一言

若手職人はお店を持っていない方も多いです。

 

またさまざまな種類の工芸品を扱うクラフトフェアは日光にありませんでした。

年に数日でも機会ができれば「いい作品を作ろう」と、職人の意欲がより高められるかもしれません。

運営はなにもかもはじめてで、わからないことばかり。

そのため各地のクラフトフェアに足を運び、地域ごとの特色を学びました。

 

1年目は試験的な取り組みも多く小規模でしたが、2年目からは日光彫だけでなく、多様なジャンルの作り手を全国から募集しました。

質の高い作品が集まることが地域や職人へのよい刺激につながってほしいです。

 

2年目のイベントの来場者は2日間で約1,100人。

まだ課題もありますが、イベントをきっかけに若手職人どうしで日光彫や地域の未来を話し合えるようになったのはよかったです。

 

日光の夏には日光てしごと市がある」。

いずれはそう言われる存在にしたいです。

 

次の世代へ、バトンを渡せる存在に

日光にこられてほんとうによかったです。

 

もともと人に尽くすというか、誰かが喜ぶために時間をかけて夢中になってしまうことがありました。
「自分のためにこれだけやってくれたんだ」と、相手に感動していただけるのはお金以上の価値に感じます。

そんなわたしが協力隊の活動を通して、それまでの生活では決して関われなかった方たちとつながり、さまざまなご縁をいただきました

日光で出会った夫も、私の活動を理解し支えてくれます。
この上ない伴侶に出会えたことも、日光にきたからこそ味わえた幸せの1つと感じています。

卒業後も日光彫に関わる仕事を続けます。

お世話になった方たちとの関係や日光の魅力を活かしながら、わたしもひとりの職人として、小規模でも作品作りに挑戦します。

日光彫など伝統工芸目的で日光へ訪れる方や、ものづくり目的で日光へ移住する方が増えることを願っています。

次の世代へバトンを渡せるよう、職人が日光彫を続けられる環境をこれからも整えたいです。

 

わたしの本番はここからです。

日光てしごと市へぜひ遊びにきてください。

 【中止】第4回 日光てしごと市
2021年7月31日(土)-8月1日(日)

※新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、「第4回 日光てしごと市」の開催は中止となりました

コロナ渦で例年よりこぢんまりとしますが、この日限定の展示など新しい取り組みもあります。
ぜひ遊びにきてください。

※新型コロナウイルス感染症の状況により、中止となる場合があります。
詳細は下記「公式サイト」をご覧ください。

公式サイト  /インスタグラム YouTube日光彫について

メディア・イベント一例

新聞

2018年9月4日 読売新聞/日光彫感じる写真展
2018年9月24日 下野新聞/手仕事「つなぐ会」設立
2018年9月6日 下野新聞/協力隊員、初の写真展
2019年6月25日 栃木月刊情報誌もんみや 2019年7月号/日光てしごと市
2019年7月14日 産経新聞/伝統工芸受け継ぎ 魅力発信
2019年7月18日 下野新聞/日光てしごと市 市外作家も招き出店増
2019年7月21日 下野新聞/きょうまで「てしごと市」
2020年3月10日 下野新聞/「四季花鳥図衝立」を発見 壬生出身の上野桐恵、日光金谷ホテルに

イベント

2018年9月1日-2018年9月9日 日光彫に触れる感じる写真展
2018年9月29日 第1回日光てしごと市
2019年3月2日 日光彫工房見学ツアー
2019年7月20日-2020年7月21日 第2回日光てしごと市
2019年10月20日 日光彫ワークショップ 「木のマグネット」(NIKKO BASE)
2019年11月10日 日光だいや川公園「The Arts of Nikko」ワークショップ出展
2019年11月17日 日光彫ワークショップ 「クリスマスオーナメント」(NIKKO BASE)
2019年12月15日 まちあるきガイドツアー 日光ぶらり「ちょいと深堀り、日光彫!」
2019年12月15日 日光彫ワークショップ 「年賀状版画づくり」(NIKKO BASE)
2020年2月16日 日光彫ワークショップ 「桃の花の小皿作り&ティーブレイク」(NIKKO BASE)
2020年3月14日 日光彫工房見学ツアー(コロナで中止)
2020年7月25日-2020年7月26日 第3回日光てしごと市(中止)
2020年11月22日 JR日光線130周年記念イベント 日光彫体験会(中止)
2021年7月31日-2021年8月1日 第4回日光てしごと市(中止)

冊子

2017年 ガイドブック「日光の手しごと(日本語版/英語版)」