人口減少や高齢化が進む日光市栗山地域では、地域内での助け合いがますます大切になっています。
地域おこし協力隊として、どのようなことができるでしょうか。
高齢化集落の地域コミュニティ「集まる会」の運営をサポートしていた、栗山 地域おこし協力隊 嶋﨑隊員(任期:平成27年6月〜令和2年3月)に活動についてお伺いしたときのお話です。(平成30年2月聞き取り)
栗山協力隊の嶋﨑です。「集まる会」についてお話します!
先輩隊員から引き継いだ「地域コミュニティづくり」
地域おこし協力隊の初年度は、先輩隊員のサポートがメインでした。
先輩たちに同行してさまざまな地域を周り「自分にできることはなんだろうか?」と、日々悩んでいました。
「昔はにぎやかでよかったなぁ」「(1人暮らしになって)今はさみしいよ」など、地域でたくさんの生の声を聞く中で、集落ごとの自主的なコミュニティの必要性を意識するようになります。
地域の人口減少や高齢化はこれからも進むでしょう。
それに対し、住民同士で気軽に集まって楽しみ、お互いが健康を確認しあう場。
そんなコミュ二ティが地域にできたらと考えました。
高齢化集落のコミュ二ティ運営については、すでに先輩隊員がサポートを行っていました。
わたしは卒業する先輩から引き継ぐかたちで、地域コミュニティを「集まる会」として継続することになります。
コミュニティをすべての地区に広げたい
「集まる会」で行うことは地区によって異なりますが、軽スポーツなどの体を動かすものがほとんどです。
2時間程度で、昼食まで一緒に楽しむこともあります。
冬期をのぞき約月1回、地区ごとに行っています。
それまでも市主導で行っている巡回相談(保健師による健康確認や軽スポーツなどを行う)はありましたが、高齢化集落に指定された地区限定でした。
またすでに自主的にコミュ二ティを運営している地区もありましたが、一部に限られたものでした。
「集まる会」がはじまった当初は、地域コミュニティのない地区もあったのです。
わたしまず、地域コミュニティがすべての地区で実施できることが大切だと考えました。
そして「集まる会」は3年目となって、全4地区まで広がりました。
これにより、地域コミュニティは「自主的に行っている地区」、「市の事業で行っている地区」、「集まる会」の3パターンとなり、ようやくすべての地区で地域コミュニティがスタートできたのです。
3年間の活動を通して見えてきたもの
集まる会の住民参加率は地区によってさまざまです。
地区で中心となる方がいると集まりやすいのですが、そのようなリーダーを見つけることが難しい場合もあります。
それでも少しずつ、地域に変化が見られるようになりました。
ある地区では、コミュニティができて3年目から自主的に運営するようになりました。
わたしが地域おこし協力隊としてサポートを行う「集まる会」から自立したかたちになります。
自治会長(集落の長)らを中心にコミュティ実行組織をつくり、企画や案内のためのチラシづくりなどを年4回程度行っています。
コミュニティがきっかけで、ラジオ体操なども行われるようになりました。
またある地区では「伝統食復活プロジェクト」が発足しました。
「集まる会」で毎回いろいろな話で盛り上がる中、約20年前から食べなくなってしまった「べったら餅」をもう一度作る企画が立ち上がったのです。
プロジェクトは見事に成功。
伝統食を復活させることができ、お披露目会ではマスコミにも取り上げられ、他地区からも多くの方が参加されました。
ほかにも、「集まる会」以外の地域行事への参加者が増えたり、疎遠だった方同士が仲良くなったりと、さまざまな変化が起こっています。
「集まる会」の参加者は毎回何十人もくるものではありません。
地域おこし協力隊の活動実績としては派手なものではないけれど、こういった変化が見られることをうれしく感じています。
出席率が高い「自主的な地域コミュニティ」
協力隊の活動もあと1年(2019年3月現在)です。
わたしのような外部から関わる人がたとえいなくなったとしても継続できるコミュニティづくりを進めています。
栗山内の地域コミュ二ティについて、全地区の様子を把握しているのはわたしだけかもしれません。
うまくいったことやそうでないことも含めて、さまざまなことを体験しました。
そのため「他地区でどんなことやっているか教えて」など住民に相談を受けることも多く、それに対して今までの経験をもとに提案できるようになりました。
気づいたのは、自主的なコミュニティが最も住民出席率が高い傾向にあることです。
簡単ではないけれど、自ら自由に運営するほうが自然に楽しめるのかもしれませんね。
地域コミュニティへの参加は個人の自由であり、苦手な方もいると思います。
それでも地域の楽しみの1つとして、地域コミュニティがあることによってさまざまな変化が見られました。
「集まる会」が地域の積極性に少しもでもいい影響を与えることができれば、これほどうれしいことはありません。
地域コミュニティは担い手づくりなど、まだまだ課題も山積みです。
これからも市と相談しながら、地区ごとの最適なコミュ二ティを考えていきたいです。
仕事帰りに入る温泉が毎日の楽しみです